輸出物品販売場制度とはどんな制度なのかどこよりも詳しく説明

「輸出物品販売場」というと何のことかわからないかもしれませんが、実は街中でよく見かける「タックスフリー」等のノボリにあるように、免税店のことです。

そして、輸出物品販売場の制度については、5つのポイントがありますので、それを順番にお話ししていきます。

1 輸出物品販売場制度の概要

そもそも、この免税店の制度は、税務署長が、許可した免税店に外国人旅行者など、日本人でない方が買いに来た時に、パスポートなどを提示することで手続きをして、消費税を免除するというしくみです。

これを輸出物品販売場制度と言います。

2 免税販売の対象となる方

では、外国人旅行者であれば誰でも消費税が減税になるのかという問題ですが、「誰が免税のメリットを受けるか」という点は、意外と細かく分かれています。

それを説明していきます。

まず、外国人=パスポートが日本人ではない方は、原則として、日本に住んでいなければ、外国人扱いとなり、「非居住者」扱いになります。

しかし、例えば「パスポートは外国籍であっても、日本国内にある事務所に勤務している方」や、「日本国内の事務所に勤務はしていないが、日本に入って半年経過している外国人旅行者の方」は非居住者扱いにはなりません。

この方達は、消費税がしっかり課税されるということです。

では、日本人なら誰でも免税の対象とはならないのかということについては、日本人も、普通の日本人のように消費税がかかる方と、かからない方がいらっしゃいます。

まず日本人=パスポートが日本国籍であっても、外国にある事務所に勤務している方で、一時的に日本に帰国している方は非居住者扱いとなり、免税されます。

それから、2年以上、外国に滞在することが目的で出国していて、外国に滞在している日本人の方も、免税品が安くなります。

例えば、外国の事務所に勤務していて、一時帰国のために日本にいて、さらにその滞在期間が6ヶ月未満の方も、免税品を買った場合は消費税がかかりません。

何となくイメージがつきましたでしょうか。

3 免税対象となる物品の範囲

それでは、どんなものが免税品として、消費税がかからなくなるのかということですが、法律では、大きく商品を2つに分けています。

一つ目は「一般物品」と呼ばれるものです。

もう一つは「消耗品」と呼ばれるものです。

一般物品の例は、家電、バッグ、衣料品など、法律的に言うと「消耗品以外のもの」というくくりになっています。

消耗品というのは、本当に消耗するものです。例えば、食べてなくなるもの、飲んでなくなるもの、使ってなくなるものですので、例えば、飲料品、食料品、医薬品、化粧品、その他消耗品というのが、消耗品扱いになります。

そして、この一般物品と消耗品であればどんなものも対象になるかというと、そうでもなくて、実は金額が決まっています。

一般物品の場合、例えば家電、バッグ、服(着物も)といったものは、税抜きで5000円以上のものが対象となります。税抜きで5000円以上なので、4980円(税抜)のカメラを買った場合は、免税の対象にはなりません。

それから、消耗品の場合は税抜き5000円以上、50万円以下という制限があります。5000円以上なので、例えば、「食料品や医薬品を、同じお店で5000円以上買った場合」に適用になります。

ただ、少し難しいのは、小さなお店が、あたかも一つのモールみたいになっていて、そのモール全体で免税の手続きをするカウンターがあるような場合は、複数のお店で買ったものの合計を、免税の額として計算することができます。

これはお店に入った時に、そのお店だけで免税手続きをやっているのか、何かショッピングモールのようなものや、観光地のお土産屋さんが一体となってやっているような所かというのを、まず見てから判断するといいと思います。

ですので、間違えて「あの店舗と、ちょっと離れたあの店舗で買って、合計5000円だから免税されるだろう」と思っていたら、別々だったというケースもあるので、注意してください。

4 免税販売手続きの流れ

では実際に、免税手続きをする場合、どうすればいいかということですが、まず先ほどの例で言った、1店舗ごとに免税手続きをする場合と、ショッピングセンターのような複数の店舗が入っていて免税カウンターが一つの場合とで、2タイプの免税手続きのやり方があります。

1店舗ごとにやる場合を「一般型輸出物品販売場」と言います。一般型物品販売場は、一つの店舗のことです。

まず、この一般型輸出物品販売場での手続きの方法を説明します。

最初に、非居住者である購入者が、パスポートをお店に提示します。そこで輸出物品販売場つまり免税店のスタッフが、その方が非居住者であることを確認します。

そして、「購入記録票を作成してください」という風に購入者の方にお願いします。購入者の方は、それを作成して、さらに購入者誓約書というのを提出します。これは、どういうことが書いてあるかというと、「国外に必ず持ち帰ります」「日本国内では使いません」という誓約書です。

それを提出してもらったら、免税店のスタッフが、購入記録票というものを、パスポートに添付して、さらに割印をします。パスポートに紙を貼り付けるわけです。

そして、それが終わって初めて、購入者が買った免税対象品をお渡しします。購入者からもらった購入者誓約書は、お店では7年間保存する義務があります。

購入者の方は、買った免税品をどうすればいいかというと、まず税関でパスポートにぬり付けられた購入記録票というのを見せます。そして、オーケーでしたら、はじめて飛行機に乗って、免税商品を国外に出せます。

このような流れになっています。

次に、ショッピングセンターのような場合です。

ショッピングセンターの形式を、手続委託型輸出物品販売場といいます。

このやり方ですが、簡単に言うと、免税手続きカウンターという、一つのショッピングセンターに大体1ヶ所あるような所が、代理で、各お店の代わりに手続きを行うという違いで、他の手続きは大きく変わりません。

免税手続きカウンターで、購入者がパスポートを見せたり、免税手続きカウンターのスタッフが購入記録票を作成したり、パスポートに購入記録票を貼り付けたりします。

免税手続きカウンターのスタッフが、購入者誓約書を各輸出物品販売場、各免税店のお店にお渡しします。各免税店は、購入者誓約書を7年間保存します。

このような流れになっています。

購入者の手続きは、一般型輸出物品販売場の手続きと全く変わりません。税関で購入記録票を提出して、免税物品を国外に持ち出します。

5 購入誓約書の保存義務


免税手続きカウンターや、免税店が購入者から受け取った購入者誓約書ですが、これは7年間保存しない場合は、そのお店の消費税が免除されません。

それから、免税店は、消耗品については、指定された方法により、包装する必要があります。包装というのは、商品を包む方法です。

具体的にどうすればいいかというと、普通の日本人の方が買ったように、ビニール袋にいれて「はい。ありがとうございました」という風にお渡しすることはできません。

まず、商品を買っていただいたら、何に入れればいいかというと、2点指定されています。一つが、プラスチック製の袋、もう一つがダンボール製などの箱となっています。

包装は、破けてしまったりしたら、どれが商品として入っていたのかがわかりにくくなりますので、次のような規定があります。

まず、出国までに破損しない十分な強度を有していることです。例えば、果物などは、内容物を容易に取り出せない大きさの穴を開けることは許容されています。これは鮮度を保つためです。

それから、開封した場合に、開封したことがわかるシールで封印することです。パッと開けちゃって、食べちゃうということが許されないためです。開封したら「開封済」などシールを剥がすと文字が残るようなものを見たことがあるかもしれませんが、そのようなシールをつける必要があります。

それから包装の中の内容物や、何個入っているかが確認できる必要があります。なので、袋の場合は、「透明」か「ほとんど透明」である必要があります。箱の場合は、ダンボールになってしまっているので、内容物の品名、品名ごとの数量を記載しなくてはなりません。

それを買った当の外国人の方が、開けてはいけないということを忘れる可能性もあるので、「出国まで開封しないでください」ということを日本語と外国語で、注意喚起するものを貼り付けなければいけません。

もしくは、その袋にそのまま印字してある状態でなければいけません。外国語は、希望としては、英語に限らず、中国人の方も非常に多いので中国語や、韓国語など多言語で記載することが望ましいとされています。

例えば、注意喚起の例としては、「日本を出国するまで開封しないでください。なお消費した場合には、消費税を徴収されます」といったことを、英語、中国語、韓国語等で記載する必要があります。

それから、先ほどの購入者誓約書の保存義務等の概要に戻りますが、購入者は、免税したものを国内で消費することは許されていません。他の人に譲渡することも許されていません。

買ったけれど出国の際にそれを持っていない場合、消費税が徴収されるので、注意する必要があります。

以上が、輸出物品販売場制度の5つのポイントになります。

参考になれば幸いです。

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